たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

〈16年越し・後編 -適当-〉

前回のあらすじ。鬼襲来のような怒涛の数時間をこなした日、お客さんから温かい一言をいただいて感動した私は、接客の検定を受けることにした。)

サービス接遇検定」は、二級までは筆記試験、準一級は面接試験のみである。

どうせやるなら、と準一級を受ける。なんせ響きがカッコいいし、合格率もなぜか8割と異様に高いから、いけるのでは。

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〈16年越し・前編 -貴方のように-〉

大学生の時に「サービス接遇検定」を受けた。きっかけがある。

私はファストフード店でアルバイトをしていた。ある日シフトの人数が埋まらず、ピークタイムの接客を1人で回さなくてはならなくなった。

こんな日に限ってお客さんが途切れず、人員はわずか

・社員1人(全体のフォローと電話対応)

・デリバリー担当1人(デリバリー注文も鳴りやまず殆ど店の中に居られない):普段は3人

・厨房1人(厨房と電話対応):普段は2人

・カウンター・ホール担当1人(私):普段は3人

で、くっそ忙しくて段々笑えて来た。人間、ピンチになると頭がおかしくなりますね、その日の私はとりあえず狂った笑顔を振りまき、ひたすら目の前のタスクをこなすことに集中した。たぶん人生で一番、俊敏に動けていたと思う。

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〈超楽〉

 

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かきぞめ(初お絵描き)

古(いにしえ)のパソコンとペンタブレットを新調した。

15年前に購入したのを結構ガシガシ使っていたので、最近では電源をつけるたびに「今日も動きますように」と祈っていた。そのパソコンだと数年前からネットが繋がらないし、開くたびに日時設定をしないといけないし、ヴウウウンといつも唸りながら(物理的に)熱くなる。いつもハラハラさせるし、起動から作業に取りかかるまでもんのっすごい手間がかかるんだけど、愛着があった。

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〈化粧〉

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勘が冴えているときがある。何年も音沙汰のない友人が急に夢に出てきたと思ったら、メールが来たり。「そこまで用事を済ましに行くだけだけど、一応メイクしておこう」とピンと感じたときに、ご無沙汰な知り合いにバッタリ会ったり。

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〈目分量〉

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子Aの科学のテストを私も解いてみたら全然分からなかった。「答えと解説」を読んでも「え、そうなの?」という感想が出てしまうほどで「習った覚えがない」と開き直ったら子Aが
「え?大学まで行った人がこれ解けないの?普通に授業でやったけど?今まで、お母さん大学行ったなんてすごいなーって思ってたけど、大学って(学年)の問題解けなくても入れるんですね」
とめっちゃ嬉しそうに煽ってきた。
「いやいや、君にはできなくてお母さんにはできることがあるように、お母さんにはできなくて君にはできるってことがあるのは当然だからね」
「いやいや、(Aの学年)の理科だからね」
いやいや、いやいやいや、(言い返せない)。

〈マンガ描きました〉

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描いた漫画を紹介させてください。

イベント「2021男女共同参画フォーラム」用に描いたものです。(記事末尾に6枚掲載しています)

▶︎どんな人がフォーラム実行委員をやっているの?

▶︎なんでフォーラム実行委員をやっているの?

▶︎やってから何かいいことあった?

メンバーそれぞれのお人柄や生活ぶり、価値観を感じとってもらえるように描いたので、ぜひ全員分ご覧になっていただけるとめちゃめちゃ嬉しいです。

◆作中用語説明◆

▷「男女共同参画フォーラム」:男女共同参画の視点を持ち地域で活動する団体(NPO等)の活動発表・地域交流の場として、年1回開催しているイベント。

▷「フォーラム実行委員」:男女共同参画フォーラムの運営にたずさわるボランティア。

▷「パルカレッジ(パルカレ)」:男女共同参画の視点を養うことを目的とした連続学習講座。現フォーラム実行委員のメンバーはパルカレッジの修了生で構成されている。

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最後までご覧いただき、どうもありがとうございました!

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retimeline.hatenablog.com

〈画家のサイン〉

アントワープ王立美術館コレクション展」に行ったのは、数点だけ展示されているルネ・マグリットの絵を見るためだった。

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ミュージアムショップで購入したポストカード
ルネ・マグリットL'empire des lumières(光の帝国)」

マグリットの絵はひんやりしていて怖いし、錯視みたいな違和感がその夜の夢に出てきそうでドキドキする。画集は持っていないけど美術館には観に行きたいなという程度の、ライトな「好き」だ。

美術館で、マグリットを見つけるまでに多くの絵画を観て回るうちに、絵の隅に記してある画家のサインが気になるようになった。

おそらく絵筆でさらさらっと描かれたであろう筆記体のサインや、ロゴマークのように丁寧に描き込まれたサイン。なかには幼児の覚えたての字のようなサインもあって、あまりの悪筆ぶりにビックリして動けなくなったりして。絵は頑張って描いたのに、仕上げのサインはなんでこんなに適当なのか。なんかちょっともう、つかれちゃったのかな?

凹んだときや気分転換したいとき。ビールかワインを飲む(気分転換になる)、缶チューハイを飲む(どうでも良くなる)、泡盛を飲む(今夜は捨てる)、などの方法があるなか、1番健康的なセラピーはノーマン・ロックウェルの画集を眺めることだと思う。彼の描く絵はなぜだか涙が出てくる。

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ノーマン・ロックウェル画集」(白泉社)より
▶︎visits a County School(1946) 先生達から離れて一人読みたい本を読む少女への肯定的な眼差しを感じる
▶︎Doctor and Doll(1929) 人形の診察をする医者と不安げに見上げる少女の対比が可笑しい
▶︎The Runaway(1958) 冒険?家出?の少年を気にかけつつ一人前の存在として応対する警察官とマスターがいい (体格差もいい)

ロックウェルの絵は、人間の良いところもしょーもないところも、丸ごと肯定してくるから不思議だ。マンガのような吹き出しもない一枚の絵が、こんなにも饒舌なことってあるんだなとビックリするし、元気がないときに眺めるとあったかい気持ちになってくる。登場人物がオーバーな表情をしている絵より、姿勢の傾きとか目線とか腕に浮き出た血管とかでストーリーを感じさせてくれるような絵が特に好き。

そうそう、ロックウェルのサインは、ロゴのようで、さりげなく主張しつつも絵に溶け込むように差し込まれている。それもとても好き。