たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

〈ぐるぐる〉

お酒が進んできたので、よしもとばななさんの「なんくるない」を読む。

気に入った本はぐるぐる読み返すので、この本との付き合いは長い。

 

なんくるない」の主人公の女の人の、緩くて、ゆったりしているところが好き。

なんとなくぼんやりしている風情が。

でも頭の中は、感じて消化することにとても忙しい。

ただちょっと、地面からふんわり浮いているような忙しさなのがまた良い。

 

この主人公は年齢のぶんだけ知恵やマナーを身につけて、周りの人たちや夫のペースに合わせられるようになったけど、

感じ方はずっと前から変わらないんだろうな。

テキパキしてて効率的な人は真っ先に端折ってしまうような、この人の回り道な思考回路が大好きだと思った。

 

私が以前、スピリチュアルな方とお話しした時に、「あなたは大人になってもなお、子どもの部分を持っていたい人」と言われた。

冷静になって思うと、誰しもに当てはまる言葉なのではと思うけれど、当たっていると思った。

 

これは「なんくるない」に出てくる表現なんだけど、「その場で豊かさをたたえて膨らむ風船のよう」に物事を感じて生きる過ごし方が私も好きだ。

子どもに未だに憧れているんだと思う。

ガンガンと、前進!進歩!昨日より成長した今日を!という生き方を否定はしないけれど、どちらかというと私は、時間の概念なく、一つの出来事にぷわーっと空想が捗ってどこまでも膨らんでいくひとときの方に幸福を感じる。

そういうぷわーっとした経験の点が今まで幾つもあって、しかも書いたり描いたりするのが趣味だったから記憶にも記録にもしっかり残ってて、それらの点と今の興味関心や価値観の点に繋がっているのに気付いた時、面白いというか気持ちいいというか。

「あ!あの時の言葉が影響してるんだ!」

とか

「あの経験があったからか!」

とかに気付くのが、爽快でたまらない。

 

「多分人間はきっと生まれ持ったペースがあって、その通りに生きられないと心身がおかしくなっちゃう」

っていうところにも、首がもげそうなほど頷いた。

居心地の良い時間と人と居場所を選び、つくれる年齢になったから、それを意識して大切にしていこうと思う。