〈傘をさすな、それはパンツだ〉
占いやおまじないが大好きだった私は、小学校高学年あたりに、『心理学』というお勉強のジャンルがあると知り、興味を持った。
そして何かの本で(本当の研究結果かガセネタかは覚えていない)、こんな記載があった。
「傘の柄の好みとパンツの柄の好みはおなじ。」
それはもう、たんかめ少女には衝撃的だった。
雨が降った夜、この話をこどもらにしてみた。
「知ってる?傘の柄とパンツの柄の好みって一緒なんだって。だから、傘が赤だったらその人のパンツも多分赤だよ」
こどもらは一拍置いたあと、
「えっ。じゃあ、ビニール傘の人は透明のパンツ…?」
と恐る恐る聞いてきたので思わず笑った。
「えっ。じゃあ、雨でも傘をささない人は…?!」
「履いてないの…?!」
と震えながら笑っている。
たしかに。
傘の柄イコール、パンツの柄、それは、ないか。
一昔前は傘をあつらえていたから好みが反映されていたかもしれないけど、現代は手軽に買えるしね。
こどもに指摘されるまで気づかなかった、ン十年間信じていたたんかめでしたよ。
ゲーテが「時よ止まれ、お前は美しい」と書いたこの、ビシッとした名言が格好良くて、私も何か言いたいと思ってこのタイトルにしました。
〈傘をさすな、それはパンツだ〉
ゲーテに対して、私なんぞに扱えるものは所詮、パンツだよ。