たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

〈ヘラルボニーでのお買い物〉

以前の記事↓で、ヘラルボニーのアーティストの原画が見たいと書いた。

中央区京橋に期間限定の展示会があることを知ったので、原画が観られるかもしれないと思い、行くことにした。

「BAG -Brillia Art Gallery-」内の片方の部屋「+1」にギャラリー、もう片方「+2」にヘラルボニーの商品を取り扱うショップがある。

f:id:retimeline:20211112165023j:plain

ギャラリーで感じた事柄は長くなりそうなので改めて書くとして、今回はショップの方の話を。
 
やはりネットの画面越しに見る商品と、実物は違う。
1人だけ居るショップスタッフの若い女性が声をかけてくれたので
「オンラインショップで候補を絞って来たんですけど、スマホの画面越しに見るのとは絵の雰囲気が違いますね。めっちゃ迷います」
と話した。その後お客さんが何人か来ては帰り、また来ては帰り、客は私1人になったけど商品棚を行ったり来たりしながらまだ迷っていた。スタッフさんはレジのカウンターでパソコン作業をしながら、ウロウロしている私を放っておいてくれた。
結局、候補のものとは全く違う柄のハンカチと、予定になかったコースターを買った。

f:id:retimeline:20211112165016j:plain

丸形コースター:八重樫道代さん「おりがみ」
ハンカチ:佐々木早苗さん「(無題)」
お会計の時、レジの後ろ側の壁面に金縁の額に飾られた絵があったので
「あれは原画ですか?」
とスタッフさんに聞いたら、彼女は
「実はハンカチを額に入れただけなんですよ!アイデアですよね。和室にも洋室にも合います」
と笑った。その話しぶりから、この会社や商品にしっかり想いがあるんだなと感じた。
「あの、お姉さんは、ヘラルボニーの社員さんですか?」
「あ、私はインターンです。」
「うわあ!」
私は思わず大きな声が出る。
「いいなぁ羨ましい!ヘラルボニーのインターン生募集の要綱見ました!大学3〜4年生対象のですよね。本当に羨ましい。いい選択しましたね!」
一気に捲し立ててしまって
「大学3年です。今、採用も募集していますよ」
とニコニコ答えてくれた。
 
購入した商品を受け取るとき、ヘラルボニーのリーフレットも一緒に渡してくれた。
私が以前別のお店で見つけた時とは違う折り方で、A4の紙が真ん中で半分に折られていた。
ロゴが中央に来るシンプルなデザイン。開くと、ひしめくカラフルな絵。

f:id:retimeline:20211112165036j:plain

これもいいんだけど、この折り方にするとAppleSONYなどの超有名企業のような強気なデザインになるなと思った。
この半分に折られた状態で机やリーフレット棚に並んでいたとして、興味を持って手に取れるのは、これをヘラルボニーだと分かる人だけだ。
中面こそ開いて見てほしいのに、何を扱うブランドか何の会社か、表紙からだけじゃ推測しづらいし、「手に取る」から「中を開く」までもステップが遠い。
 
広く一般にアピールするなら、横から2番目と3番目の絵の境目を折る方が良い。
これだったら、平置きされていてもチラっと見えるカラフルな柄と「異彩を、放て。」のコンセプトとロゴを一目で見られる。何より、絵が折られないのが良い。絵を折るのは、なんだか痛々しい。

f:id:retimeline:20211112165040j:plain

表紙からチラっと覗くカラフルな柄が気になって開くと、全体的にヘラルボニーのアートが広がり、右下の小さい文字の会社説明文にまで目を転じてもらえる。この動線を仕掛けるズラし折りをする方が、ヘラルボニーという会社がより認知されやすいのではないか。
 
私はそう思っていたから、真半分に折られたリーフレットをレジのカウンターに置いてそのスタッフさんに話し始めてしまった。
「このリーフレットを作った方はすごいですね。以前●●(店の名)でこのリーフレットが、こうやって折られていたんです。」

f:id:retimeline:20211112165137j:plain

「絵に折れ目がつかないようにここで折ると、ちょうどこんな風に、絵が少し見えるようになって、異彩を放てのコンセプトも見えるんですよね。自然と中も見たくなるから、このデザインを考えた人、天才だなって思って。どなたが作ったんですかね、もしご存知でしたら感動しましたと伝えてほしいです。」
もう、私は完全なる変人だな。おかしな客が来て迷惑だろうか。ど素人が折り方にこだわってうんちく垂れてる。でもでも、このデザイン天才って言ってた人がいましたよって事が作り手に届くといいなぁ。話した後、結局なにも伝わっていない気がして頭の中が忙しくなった。でも、そのインターンのスタッフさんは私の出しゃばった雑談をフンフンと聴いてくれていて
「前はその折り方だったんです。でも、最近は真ん中で折るようになりました」
と教えてくれた。
 
ああ。じゃあ、もうきっとヘラルボニーは私が思っているよりずっと広く認知されているんだ。この真ん中折りで戦える会社になっているんだ。
そもそも、今回のように、取り扱い店舗に置いたり購入した人に渡す目的なら、リーフレットは真ん中で折られていても何も問題はない。A5の規格サイズになるから扱いやすいし。
ズラして折って認知度を上げるためのリーフレットから、購入者や関わりを持った人がもう一度思い出すためのリーフレットへ。
リーフレットの折り方が変わったことに、宣伝のステップが一段階先に進んだのを感じる。
 
「私が最初に手にしたリーフレットがこうやってズラして折られていたバージョンで、とても感動したので。すみません。」
インターンのスタッフさんは、リーフレットの中面を見ながら
「確かに、ここで折れば絵が折れずに済みますもんね。絵も大事な作品なので。」
と言ってくれた。…そうなの。そこだよね!
もう退散しよう。
インターン頑張ってくださいね」
と声をかけて店を出た。ヘラルボニーはいいぞ。インターン生も素敵だったぞ。
 

▶ヘラルボニー/ゼロからはじまる

会期:2021年10月15日〜2022年1月23日
会場:BAG-Brillia Art Gallery-
住所:東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル1階
開館時間:11:00〜19:00 
休館日:月(祝日の場合は翌日)、12月28日〜1月5日
料金:無料

 

〈関連記事〉

retimeline.hatenablog.com