たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

〈16年越し・前編 -貴方のように-〉

大学生の時に「サービス接遇検定」を受けた。きっかけがある。

私はファストフード店でアルバイトをしていた。ある日シフトの人数が埋まらず、ピークタイムの接客を1人で回さなくてはならなくなった。

こんな日に限ってお客さんが途切れず、人員はわずか

・社員1人(全体のフォローと電話対応)

・デリバリー担当1人(デリバリー注文も鳴りやまず殆ど店の中に居られない):普段は3人

・厨房1人(厨房と電話対応):普段は2人

・カウンター・ホール担当1人(私):普段は3人

で、くっそ忙しくて段々笑えて来た。人間、ピンチになると頭がおかしくなりますね、その日の私はとりあえず狂った笑顔を振りまき、ひたすら目の前のタスクをこなすことに集中した。たぶん人生で一番、俊敏に動けていたと思う。

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店内で食事していた、小さなお子さん連れの家族が帰った瞬間、次のお客さんが座ってしまう前に台拭きとアルコールを持ってベタベタした机を拭きに行く。言われる前に動く。その判断と動きは忍者のように素早かった、たぶん。下げ台に置かれた使用済み食器は、放置していると不規則に重ねられていってカオスになるので、多忙の合間を縫って小まめに下げる。ついでに床に落ちたゴミを拾って戻る。注文受け、パッキング、提供、レジ、在庫を厨房に知らせる、簡易調理は自分で回す。

とにかく自分にある全センサーを研ぎ澄ませて、先輩に教わった全てをここで出し切って、シフト終わりには盛大に散るんだろう。必死だった。

鬼襲来のような時間はいつの間にか過ぎて、午後3時半、店内に居るお客さんがまばらになった。少しホッとして、ボーッとした頭でテーブルを拭いていると、隣に座っていたおじいちゃんが「ご馳走さま」と私に言って、下げ台に食器を置き、帰って行った。テーブルを拭き終えた私は食器を片付けようと下げ台に行くと、使用済み食器の隣にペーパーナプキンに書かれたメモが置いてあった。

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この時の私の気持ちを、解答用紙に5字以上15字以内で示せ。

5文字で言うと「救われた。」15文字だと「貴方のような客に私もなりたい。」

で、接客って楽しいなぁ、やりがいがあって面白いなぁと思った。ちょうど、周りの勉強熱心な友達は資格試験を受けたりしていて、私も何かやらねばと焦っていたので、アルバイトで学んだことを形にしたくなった。「サービス接遇検定」という、相手に満足を提供するための接客・サービスの検定に申し込んだ。(後編に続く)

 

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