〈苦手なもの?バスですかね〉
勤めているとき、通勤にバスを利用していた。職場からの帰り道、後ろから名前を呼ばれて振り返ったら、同期のOが居た。新人研修以来会っていなかったので、「そっちはどう?」という話で盛り上がり、一緒にバスに乗り込んでからもずっとお喋りをしていた。話の途中でOが突然、
「私、次で降りるんだけど。たんかめはこのバスで良かったんだっけ?これA駅行くの?」
と聞いてきた。え?え??
「知らん」
乗る前にバスの行先確認してなかったや、と言うと、絶句していたOであった。
これは結構良くあることで、話に夢中になっていると、行き先を見ないでバスに乗り込んでしまう。以前友人M子と某社会人サークルの稽古に行くとき、その日もやっぱりバス乗り場で2人夢中になって喋っていて、目の前にバスが来たから自動的に乗り込んだ。
その停留所からは、行先の違う2本のバスが出ているのに2人とも確認はしなかった。案の定私たちは、乗るはずのK駅行きバスではなく、もう一つのT駅行きバスに間違って乗っていた。
「次は終点、T駅です」
とアナウンスされるまでどちらも気づかなかった。それどころか、
「今日、Y先生来るんだって!」
「わーい楽しみー!やっぱ、先生が来るとなると見慣れた風景も違って見えるね!」
などと話していた。いやいや、実際に、違った風景ですからね。サークルのメンバーに「乗り間違えてT駅についちゃったので遅刻します」という謝罪の連絡を入れたM子からは
「あんたとの思い出はもう沢山だよ」
と言われた。あれから14年経っているけどいまだに笑えるんだよ。
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