たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

〈命名〉

勤めていた時のこと。職場の妊婦の先輩がもうすぐ産休に入るというタイミングで、子どもの名前候補が固まったと教えてくれた。昼休みに、いつも昼食をとるメンバーで、その名前を当てようとなった。まっさらな状態だと当てにくいので、いくつかヒントを出し…

〈成果の名義〉

昔、夢に鬼が出てきて、私と友達になった。 鬼と言っても、高校生くらいの男の子の風貌。 その鬼は理系の閃きが冴えていて、しょっちゅう何かを発見して学者を喜ばせるんだけど、 鬼が学会で発表なんてできないから、実験仲間(人間)の名義で発表されていた。…

〈飲酒〉

二十歳の誕生日を迎えたとき、1人で神戸へ旅行した。 2泊3日の、ちっちゃな一人旅だった。 宿は、ユースホステルや素泊りのホテルをとったので、夕飯は自分で調達するしかない。 その時初めてバーに1人で入った。 二十歳だから、バーでお酒を飲んでみたかっ…

〈丸善〉

話し方が柔和で、動作に品があり、私ひょっとしてVIPだったかしらと錯覚するような丁重な接客を受けた。 私のなかで、接客が当たりだと感じた時の買い物は大成功するというジンクスがあるので、私は衝動的に、長らく替え渋ってボロボロになっていた腕時計の…

〈檸檬(レモン)〉

ご存知だろうか。 梶井基次郎氏の著作「檸檬」。 「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。」 という、不穏な空気がただよう冒頭。 あらすじを雑に説明する。 憂鬱な主人公が、果物屋で檸檬を手に入れる。気がつくと本屋『丸善』の前に居る…

〈行きずりの作法〉

知らない人との行きずりの会話が好きだ。バスや電車で隣り合ったり、病院の待合室で話したり。小説のように、行きずりがドラマを織りなすようなことは実際には全然ないけれど、あの、普段の私でなくても良い、気楽で何者にもなれる時間が好きだ。何年も前の…

〈ことば貯金〉

ショーケースに並ぶ煌びやかなケーキの中から、どれにしようかといつも悩むけれど、結局前に食べて美味しかったものをまた頼んでしまう。私は、読書は好きだけどあんまり沢山の作品を知らない。新しい作家や作品を開拓するぞと思っても、結局前から好きな作…

〈あだ名〉

皆さんもそうかと思いますが、今まで色んなあだ名がついてきましたね。名前に絡んだものもあったし、名前からだいぶかけ離れたのもありました、よね。---大学の時、私は一時期「トリケラ」と呼ばれていました。勿論、あだ名には理由やきっかけがあるという…

〈井の中の蛙〉

「井の中の蛙 大海を知らず」と馬鹿にされている井戸育ちのカエルさんですが、私はこのカエルはものすごいポテンシャルを持っていると思う。まず、井戸の中という限定的で過酷な環境のなかで生活を送れるサバイバルの達人。お天気を予測したり天敵の不穏な気…

〈指示〉

〈指示〉的確な指示が出せる人は、常に頭の中が整理整頓されているんだろうなと羨ましく思う。私は今も昔も、下手くそなままである。勤めている時、職員と学生、何人かで袋詰めをするという作業中、すごく気が利く男の学生さんがいた。途中で私(職員)がどう…

〈大丈夫になるばなな構文〉

〈大丈夫になるばなな構文〉 「その犬はコーギーだから足が短いから、歩いてる姿が小走りみたい」 のような、「〜だから〜から」という文章は、私のなかで勝手に「ばなな構文」と呼んでいる。 ばななとは、作家のよしもとばななさんのことです。 彼女の著書…

〈ご近所さん〉

私のご近所さんが夏目漱石だったなら、こんなに愉快な事はないと思う。 名作「坊ちゃん」は笑いたい時に読む本だ。夏目漱石という人は、なんて面白い人なんだろう。内容を反芻しながら一人で歩いていると、必ず思い出し笑いをしてしまう。マスクをするご時世…

〈痛恨のミス〉

アンケートに協力することになった。私が記載した内容はネットで公開されるのかが気になって、担当者に確認すべく電話した。一部個人情報にあたる内容を書く項目があるから、個人が特定されやしないかと思ったのだ。「あの、先日お受けしたアンケートなんで…

〈面白い考〉

面白いってなんだろう。私も子どもと一緒に、うん◯とかちん◯とか連呼してる日々ですけれど、大人同士で言いあったところで別にそう面白くはない。 これは先日あった話。私は駅の下りエスカレーターに乗っていた。急いでいないので、ステップの左側に寄って止…

〈声質〉

中秋の名月を見忘れたと思って、少し窓を開けたら、外から大きな話し声が聞こえてきた。 いい声だなぁと思った。 私は自分の声があまり好きではない。くぐもっていて、人混みの中や賑やかな場所だと、意識して声を張らなければ隣の人にも伝わらない。だから…