たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

〈好きな話〉

バレンタインデーなので、好きな話をしよう(いつもだが)。

 

某大学の経営系学部の事務で働いていた時、世間知らずのド新社会人だった私は、飲み会でもしや経営学の話になるのではと身構えて「Harvard business Review」という経営学誌を定期購読していた。

 

正直、記事に書いてある内容はさっぱりで、目の粗いザルに砂を入れているかのように、脳みそには溜まらず読むそばからサラサラとこぼれおちて行った。

 

ただ、一つだけ、今でも忘れられない、大好きな話があった(好きすぎてメモしてある)。

こんな内容だった。

 

ルーズベルトが選挙戦の終盤に、遊説にむけてパンフレットを300万部用意した。

しかしそのパンフレットで使ったルーズベルトの写真は、写真家に著作権があるもので、二次使用の承諾を得ていなかったことに気付いた。

パンフレットを使わないわけにはいかないし、かといって、恐らく相当な金額に上るであろう著作権使用料を支払う余裕は、ルーズベルト陣営にはない。

すると、ある選挙参謀は写真家にこう言った。

「あなたの写真を、ルーズベルト氏の選挙用パンフレットに使いたいと思っています。

 これは大変名誉なことであり、あなたの宣伝にもなる。だから、謝礼を用意してほしいんです。」

こうして選挙参謀は写真家に支払いを迫り、なんと写真家はこの申し出を"喜んで"受け入れたのだった。

 

はぁ!好き!

臨機応変な対応が苦手な私にとって、まばゆいほどのこの機転。

この交渉が倫理的に許せるかは別にして、この発想の転換をただただ、尊敬してしまう。

こういう話を聞くのが、とても好きだ。

 

ちなみに、飲みに連れて行ってくれた先生方は錚々たる顔ぶれで初めは緊張したけれど、めっちゃざっくばらんで、本当に面白かった。

先生・先輩・私で飲んだ翌朝、職場のメールで

先生「ところで昨日はどなたがお代を払ってくれたのでしょうか。酔って覚えていなくてすみません。いくらでしたか?」

先輩「僕払ってません」

私「私も払ってません」

先生「食い逃げしたんでしょうか…」

ってなったの、今でもお気に入りの話。