たんぽぽ仮面のタイムライン

言葉と絵とお酒にムズムズします

感想

〈弛緩〉

大学で勤めていたとき、学園祭の担当になったことがある。 学部で管理している施設(校舎)を、学園祭の前日から実行委員会(学生)に貸し出す。 施設引き渡しの前後に、職員である私と借りる側の実行委員のメンバーで施設内をくまなく見回って、教室、廊下、ト…

〈音痴〉

学生の頃、バーテンをしている知人のお宅に友達とお邪魔して、自分達の好きにカクテルを作って飲ませてもらった。妻さんが七色のグラデーションになっているゼリーを作ってふるまってくれて、そのお皿を私達はぷるぷる震わせて「震度3」「震度5」などと言っ…

〈愛を込めて花束を〉

気ままに書き散らしているのが好きだ。書き終えると毒がスーッと抜かれている。 SNSとしては用途が中途半端なこの「LINEのタイムライン機能」に書いて、一体何人の方の目に留まっているんだろう。 なのに、こうしてぼちぼち書き続けられるのは、私が単に図太…

〈記憶〉

サザンオールスターズの楽曲「TSUNAMI」がスマホの音楽アプリから流れたとたん、部屋に一瞬、墨汁の匂いが漂った。パソコンで作業をしながら聴いていたから、実際には墨なんて使っていない。匂いと同時に、風船に吊られた巨大な書作品がゆっくり上っていく光…

〈好きな話〉

バレンタインデーなので、好きな話をしよう(いつもだが)。 某大学の経営系学部の事務で働いていた時、世間知らずのド新社会人だった私は、飲み会でもしや経営学の話になるのではと身構えて「Harvard business Review」という経営学誌を定期購読していた。 正…

〈リスニング〉

学生の頃、チキンを売るお店でバイトをしていた。そこへ、HIPHOP系の身体つきがゴツい男性2人が来店した。 カウンターに肘を乗っけて半分身を乗り出し、英語で何やら注文をする2人。ベラベラベラーっと早口の英語で喋ってくる。 声のデカさと「ヘイヨー」っ…

〈ミミズの恩返し〉

ミミズはなんでアスファルトの歩道に出てきてしまうんだろう。こどもの頃、父から「ミミズは土を綺麗にしてくれるから、殺してはだめだよ」と教わった。だから、アスファルトの上で困っているミミズを見つけると、葉っぱですくって近くの土のあるところへは…

〈穴〉

※注 麒麟がくるネタバレ含みます「麒麟がくる」は、てっきり十兵衛は竹藪で落武者狩りに遭って死ぬと思っていたから朝から凹んでいたんだけど、生存説を思わせるきれいで希望の持てる最終回だった。最期、子どものように丸まって死んで行った信長が悲しかっ…

〈夢〉

夢の話は大抵「ふーん」と思うしかないから、聞かされる方が辛いのは知っている。けど、ドラマ化したらギャラが大発生する豪華キャストの夢だったので備忘として記録しておく。---以下、夢---私は、職場の矢作先輩(@おぎやはぎ)に誘われて仕事帰りに飲みに行…

〈苦労との関わりかた〉

苦手な大人がいる、という我が子。私が 「良いじゃん。居心地良い大人しか知らなかったら、社会に出た時に色んな大人がいてビックリしちゃうよ。」 と言うと 「嫌だよ。」 と即答された。 「『若いときの苦労は買ってでもしろ』って言うけど、自分は『若いと…

〈無駄なこと〉

先日のタイムラインで、苦労を売るか買うかの話をして思ったんだけど。私は、「苦労」は欲しい人がいれば喜んで譲るけど「無駄」は買うかもしれないなぁ。でも、「無駄」は買うけど、「無駄な苦労」は買わない。無駄と言っても、与えられた「無駄」は嫌い、…

〈よいお年を〉

小学生の時に、算数の答え合わせで「いいです」や「同じです」とクラスの皆で声を合わせながらマル付けをしていくのは、全国共有だったろうか。 現役小学生の我が子に聞いたら、今もあると言う。 私の母校にも、それがあった。 計算ドリル3ページ分を一気に…

〈あいづち〉

胸糞悪い話を聞いた。思わず 「それクソですね。クソofクソ。あ、ダメだこれじゃうんこに失礼」 と口走ってしまって、ビックリされた。 普段よほど近しい間柄でない限りは極端な言葉遣いをしないように心掛けてはいるんだけど(出ちゃってるかもしれないけど)…

〈問い〉

以前家族で入ったレストランで、案内された席の真横の壁にポスターが貼ってあった。 復刻版と思しきレトロなデザインで、飛行機と二本のビール瓶の絵、その下に横書きで大きく 【ルービロポッサ】 と書いてある。 こども達にポスターを指して、 「アレ、なん…

〈ぐるぐる〉

お酒が進んできたので、よしもとばななさんの「なんくるない」を読む。 気に入った本はぐるぐる読み返すので、この本との付き合いは長い。 「なんくるない」の主人公の女の人の、緩くて、ゆったりしているところが好き。 なんとなくぼんやりしている風情が。…

〈リンク〉

年に数回、家族でキャンプに行くが、2019年のゴールデンウィークのキャンプは、私の一つの疑問が爆ぜて解決した、ドラマチックな経験をしたので忘れられない。 具体的に言うと、「枕草子」序段最後の「わろし」の謎と、スピルバーグ監督が瀕死の「E.T」の見…

〈DJのはたらき〉

若かりし頃、クラブ(『さんま』と同じイントネーションの方)に数回だけ行ったことがある。先輩や友達がステージでライブをするからそれを数人で観に行ったのだった。私は飲み会やオールが好きだったけど、ウェイウェイした華やか系女子ではなかったので、ク…

〈命名〉

勤めていた時のこと。職場の妊婦の先輩がもうすぐ産休に入るというタイミングで、子どもの名前候補が固まったと教えてくれた。昼休みに、いつも昼食をとるメンバーで、その名前を当てようとなった。まっさらな状態だと当てにくいので、いくつかヒントを出し…

〈成果の名義〉

昔、夢に鬼が出てきて、私と友達になった。 鬼と言っても、高校生くらいの男の子の風貌。 その鬼は理系の閃きが冴えていて、しょっちゅう何かを発見して学者を喜ばせるんだけど、 鬼が学会で発表なんてできないから、実験仲間(人間)の名義で発表されていた。…

〈飲酒〉

二十歳の誕生日を迎えたとき、1人で神戸へ旅行した。 2泊3日の、ちっちゃな一人旅だった。 宿は、ユースホステルや素泊りのホテルをとったので、夕飯は自分で調達するしかない。 その時初めてバーに1人で入った。 二十歳だから、バーでお酒を飲んでみたかっ…

〈丸善〉

話し方が柔和で、動作に品があり、私ひょっとしてVIPだったかしらと錯覚するような丁重な接客を受けた。 私のなかで、接客が当たりだと感じた時の買い物は大成功するというジンクスがあるので、私は衝動的に、長らく替え渋ってボロボロになっていた腕時計の…

〈檸檬(レモン)〉

ご存知だろうか。 梶井基次郎氏の著作「檸檬」。 「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。」 という、不穏な空気がただよう冒頭。 あらすじを雑に説明する。 憂鬱な主人公が、果物屋で檸檬を手に入れる。気がつくと本屋『丸善』の前に居る…

〈行きずりの作法〉

知らない人との行きずりの会話が好きだ。バスや電車で隣り合ったり、病院の待合室で話したり。小説のように、行きずりがドラマを織りなすようなことは実際には全然ないけれど、あの、普段の私でなくても良い、気楽で何者にもなれる時間が好きだ。何年も前の…

〈ことば貯金〉

ショーケースに並ぶ煌びやかなケーキの中から、どれにしようかといつも悩むけれど、結局前に食べて美味しかったものをまた頼んでしまう。私は、読書は好きだけどあんまり沢山の作品を知らない。新しい作家や作品を開拓するぞと思っても、結局前から好きな作…

〈あだ名〉

皆さんもそうかと思いますが、今まで色んなあだ名がついてきましたね。名前に絡んだものもあったし、名前からだいぶかけ離れたのもありました、よね。---大学の時、私は一時期「トリケラ」と呼ばれていました。勿論、あだ名には理由やきっかけがあるという…

〈井の中の蛙〉

「井の中の蛙 大海を知らず」と馬鹿にされている井戸育ちのカエルさんですが、私はこのカエルはものすごいポテンシャルを持っていると思う。まず、井戸の中という限定的で過酷な環境のなかで生活を送れるサバイバルの達人。お天気を予測したり天敵の不穏な気…

〈大丈夫になるばなな構文〉

〈大丈夫になるばなな構文〉 「その犬はコーギーだから足が短いから、歩いてる姿が小走りみたい」 のような、「〜だから〜から」という文章は、私のなかで勝手に「ばなな構文」と呼んでいる。 ばななとは、作家のよしもとばななさんのことです。 彼女の著書…